平成15年度 子育て親育て研修大会講演概要報告
「夫婦の教育観の不一致をどうするか」
元県PTA連合会会長 今井佐知子
●はじめに
皆さんこんにちは。
この部屋、この壇上は、大変思い入れがあります。山口県PTA連合会は毎年ここで総会や定例会を開きますが、平成10年度会長就任の承認をいただいたのもこの部屋でした。
現役時代は多くの魅力的な方々に出会い、共にPTAの存在意義を議論したり実践したり、多忙な中にも充実した日々でした。
現在は、山口県家庭教育学会に所属し家庭教育の諸問題の研究や普及活動をしています。PTAを卒業した後、このような場所でお話ができることを大変うれしく思います。今日はお越しいただきありがとうございます。
・父親と母親が共に家庭を支えるという意識に
やまぐち子育て県民運動推進協議会会長を拝命していますが、第1回目の会議が9月に行われました。メンバーの多くは子育て支援活動の実践者で、県P連からも参加されています。
山口県の教育や子育てに関する会議に多く関わってきましたが、子育てを取り巻く環境がすごく変わってきたことを実感しています。委員の中のお母さんたちが、TシャツやGパン姿で小さい子どもを連れて一緒に会議に出席しているのです。そういう風景は6〜7年前には見当たりませんでした。
山口県も、子育て支援に力を入れていることが確信できましたし、確実に私たち、至らない親ですけれども進歩しています。私は子どもが幼い頃、自分の子どものことだけで一生懸命、精一杯でした。周りの子どもたちへの配慮や、子どもと共に成長する親たちとネットワークを組んで、さらに違うグループの人たちと子育て学習をするなど、思ってもみないことでした。
でも、今はそういう新しい風、子育て支援の進化を感じとっています。また、若い方々は父親について、「育児に参加するだけではなく一緒に協力してほしい」と言います。そういう視点、共に家庭を支えていく意識も若いお父さん、お母さんたちについてきています。心強いですね。
●夫婦間で教育方針の違いがある
・親はどうしなければいけないのか
今日は、思いきって夫婦の問題を取り上げました。夫婦の話はなかなかしづらいものです。子育てのサポートをしたいと思っても、どこまでそれぞれの夫婦の中に関わっていけばいいのかとても難しい問題ですし、お仕着せに上からポンと言っても心の蓋は開きません。
けれども、子ども達の問題を繙いていくと、やはり親、私たちが今どうしなければいけないのかという、夫婦間も含めて親に関わる問題が圧倒的に多いのです。特に父親と母親が教育の方針が違うところで。
・夫婦の共通体験ができなくなって
私自身、(社)日本PTA会長だった平成12年は365日のうち250日は国の会議やPTAの事業などで全国を奔走しました。目的もありましたし、社会的責任も大きかったので精一杯精進しました。おかげさまで、皆さんのお力添えもあり成果を達成することも出来ましたが、今、我が夫婦を振り返ると主人との会話に一番困りました。結婚する時には「恋愛結婚なので、そんなに主人と食い違っていくことはないだろう」と思っていました。お互いの人生観というか、「切磋琢磨しながら人として学び、自分たちを高めていこうよ」そんな主人だったからこそ、あれだけ忙しい中でも「自分の想いを発信してこい」と言ってくれたわけです。
ところが、帰ってきますと私自身も主人とは違うフィールド、違う顔を持つようになり、自己の場を確立したところがあります。主人は主人でいろんなことを実践していますが、一緒に関わる体験が圧倒的に少なくなりました。
共に高まりたい想いがお互いにあっても、共通体験がなくなるので、思い出話をして笑うとか、冗談を言う、あの時はこうだったねと語り合うことが少なくなりました。
おかげさまで今は、だんだんと波長が合うようになってきました。長女は大学生で家に居ませんが長男は高校2年生で部活動にラグビーを頑張っています。厳しいスポーツなので、家でマッサージをしたり、食事やメンタル面のケアなどで、夫婦がお互いに助け合うというか、一緒に子どもに関わる時間を持つようになり、また夫婦の会話を楽しめるようになりました。
それでより実感するのですが、「親子の関わりとか夫婦の関わり、コミュニケーションなんて簡単よ」って軽く捉えている方々も結構いますが、私は大変重い問題だと思います。
忙しい中にも、他に換えられない夫婦や子どもとの共通体験は何よりも今、私たちが関わっていかなくてはいけない大切なことでしょう。
●教育観のつくられ方
・育てられたように自分の子どもを育てる
皆さんも経験上ご承知と思いますが、人は育てられたように自分の子どもを育てます。人生において何を大切にするかという価値観から、食事、躾けの仕方まで親の言動と行動で教えられます。
また、親の「伝えたくない」という意思とは裏腹に、世代を越えて自然に子どもに伝わっていく虐待などもあります。
・伝えたくないことを意識すること
4年ぐらい前に夫婦間の虐待について相談を受けたことがあります。問題が夫婦、親子の関係に絡んでくるので、言うに言えない苦しみを悶々と抱えていました。主人の父親も同じ行動をとり、さらに驚いたのは、
息子も同じような価値観でいるそうです。
家の中で、自分の存在が何なのかわからず、家族のために尽くすことなんてできない。まず自分が安全で命を確保されるペースの所に身を置きたい、そういう相談でした。
子どもが中学生以上になると、親を反面教師として捉えることもあり、親の価値観や生活スタイルのすべてが子どもに伝わっていくわけではないけれど、自分の育てられ方を基本として考えることは当然のことと思います。 遺伝してほしくない、けれども遺伝する可能性があることについては意識することが大事です。
・情報と経験から自分の教育観がつくられる
自分の育てられ方、そして、育児、教育情報を仕入れ、それに自分が見聞きした経験とか、わが子を育てる経験から自分の教育観の方向というのが創られます。
今は子育てに関する情報が多過ぎて、混乱する親も多く「育児に自信がない」、「子どもに関わるのが恐い」と訴える母親が増えているのもその影響です。
独身の頃はともかく結婚して子どもを授かると、「どのような人間になってほしいのか」、「そのためにはいかなる方法を取ればいいのか」、「どこで教育を受けさせればいいのか」、などを一生懸命に考えて自分の教育観を明確にしていきます。
同じような環境で、同じような教育観の下で育てられた者同士が、めぐり合い結婚するのであれば、教育観の基本部分の共通点も多いでしょう。しかし、現実はそうじゃない。
●夫婦は元々違った人生観を持っている
・それぞれの親から引き継がれる教育方針
人は、自分にないものを持っているから相手に惹かれることがあります。ですから、元々異なる人生観、価値観、教育観を持った者が最初から夫婦となるのです。
例えば、母親が、「親から何についても人より上手にできることを求められてきた」場合、わが子に対してもそれを求めます。だから、小さい頃から塾とかピアノとかスイミングとか習字教室などに通わせようとします。
一方、父親は、「親が自営業で多忙だったためにあまり干渉されず、いつも外で遊び回っていた」場合、幼児期からの塾とか教室通いということには否定的になります。「遊びから学ぶことが大事だ」というのが教育観になります。
当然ながら、この2人が夫婦になればぶつかり合いが起こるのは分かりますよね。だから、この教育方針をめぐって夫婦喧嘩が起こることになるのです。
悩み相談でも、夫婦の価値観の違いから夫婦喧嘩で悩んでいる母親は多いのです。そして、ついイライラして子どもに当たったり、父親の良いところが子どもに伝えられなくて、子どもと父親との関係を母親が変に調整し、本来の父親像が伝わっていかないこともあります。
・育児方針の食い違いから夫婦喧嘩に
幼児と小学校の母親を対象に、夫婦喧嘩の原因を尋ねた調査研究があります。
一番は「父親の生活態度が子どもの手本にならないことへの不満」で、未就園児を持つ母親の方が不満は大きいのです。子どもが大きくなるにつれて不満は減少するのですが、これはきっと、言っても変わらないと母親が悟りを開いたか諦めたかのどちらかで、見かけ上の不満は減少しています。
二番は「もっと育児に参加してほしい」。ここでは「協力」という言葉ではなくて「参加」という言葉になっています。
三番は「子どもの叱り方が気に入らない」。頭ごなしに言うな、ってことでしょうね。
四番は「育児方針の食い違い」。これについては、後でお話します。
五番は「他の子どもと比べてできないことを、お前のせいや、と母親に責任を押しつけられる」時に、やはり喧嘩になる。
四番めの育児方針の食い違いについてですが、傾向として母親が父親の子育てに対する考え方や、教育観を受け入れることができないのです。なぜなら、父親が今の子どもを取り巻く環境を理解しておらず、自分の子ども時代と同じように育てる感覚が、我慢できないのです。
例えば、父親は、家の事情で幼稚園や学校を休ませて良いと思うが、母親は休み癖をつけたくないのです。
今日は、会場にお父さんも多くいらっしゃいます。調査より母親の言い分をお話してきましたが、父親のデータがありませんので、父親の本音、例えば、「母親のこんな言動があるから、子育てに口を挟まなくなった」とか、「耐えている」とか、そういう事例がありましたら後ほど一緒に考えたいのでよろしくお願いします。
ただ、このデータから言えることは、父親の日常の言動、要するに普段の生活スタイルが、母親の教育意図から大きくズレており、それについて母親は不満も持っている現状を捉えておいてください。
・母親の教育意図とズレている父親の言動
別の調査研究で、母親の教育意図とズレている父親の言動に関する調査があります。
@テレビゲームを子どもには「1時間だけしかしてはいけない」と言っているのに、父親は長時間やっている。
A「返事をしなさい」と言いながら、父親は返事をしない。
B「悪いことをしたら、すぐ謝るように」と言いながら、父親は謝らないことがある。
C「食事の後は、歯磨きをしなさい」と言いながら、父親は歯を磨かない。
D「ごみはごみ箱に捨てなさい」と言いながら、父親は車の窓からごみを捨てる。
E「車の往来が激しい道路では、遠くても信号がある横断歩道を歩きなさい」と言いながら、父親は近い所を横切ってしまう。
挙げればキリがありませんが、教育観の不一致とか、父親の不注意、性格が原因するものもあるでしょう。
しかし、ここが大事です。子どもと約束しているのです。その約束をした子どもの前では少なくともお手本を見せてほしい。これが母親の想いです。
・小さな食い違いは話せば分かる
母親が子どもと約束していることを父親が守っていない時、どのように対処しているのか、それによって父親の行動はどんなふうに変わるのか、調査結果があります。
3分の1の家庭で、母親が父親に注意すると改善しているそうです。ありがたいですよね。それを守ってもらえたら母親のストレスはグッと減少します。
残り3分の2の家庭ではまったく改善されていないか、改善されても一時的で、3分の2は対処してもらえないことになります。
なぜ、夫婦間にギャップが生じるのでしょうか。それは、自分が親から受け継いできた生活スタイルや価値観が異なっているからです。母親が父親の言動の修正を諦めてしまったらどういうことになるでしょう。「父親は約束を守らない人」、「いい加減なお父さんだ」、「父親は、そんな人だ」と子どもにも納得させてしまうことになります。
父親は、本来すごく良いところがあるのに悪い所ばかりにスポットが当たって、それが親子の関わり、夫婦の関わりのバランスを悪くするところが難しいと思います。
小さな食い違いは話せば分かります。だけど積み重なって母親の大きなストレスになったら、夫婦は、お互いの考え方を十分に理解し合うことが大切でしょう。
●教育観の不一致をどう解決すればいいのか
・考え過ぎから焦りやすい母親
「教育観の不一致」の解説策は、子どもに将来どのようになってほしいのか、何を身につけさせたいのか、夫婦間でよく話し合いをするということです。
臨床心理の先生のお話では、母親は子どもの適性や進学先について現実的に考えている、あるいは考え過ぎているそうです。幼少から塾に行かせるなど、他の子どもに遅れを取らないようしなくては、と焦りやすい傾向にあり、これは父親の一番嫌がっているところかもしれません。
また、テレビ、雑誌の教育情報が多く混乱していて、その時々のメッセージに右往左往しやすいのも母親の特徴でしょう。
・現状の教育環境を知らない父親
父親は、子どもがまだ小さいので特別に考えなくていい、というのがどうも自然体のようです。
「野原で友たちと遊ぶことが大事だ」なんて時代錯誤な思いでいるのです。野原はほとんどないし、あったとしてもそこで子どもは遊んでいないですよね。現在の教育環境をあまり理解していない状況があります。
ここあたりに和解の糸口があるのでしょうか。
子どもが生まれた時には、「うちの子は天才かもしれない」、私もそう思いました。それが今では、少しずつ違うなと思いますけれども。娘は絵描きになるのではと夢を持っていました。
そう思える時期が、親にとって最も幸せでしょう。
2歳頃から他の子どもとの比較、親の競争が本格化します。特に母親は、子どもにいろんなことを頑張らせようとしますが、この母親の意識の変化についていけない父親は、戸惑うばかりなのです。この時こそ、お互いの教育観をぶつけ合い、語りあうチャンスです。
・12歳の子どもの成長満足度が4割切る
「子どもの成長についての満足度」(文部科学省の国際比較調査)について。日本と韓国、タイ、アメリカ、イギリス、スウェーデンの親に調査しています。0歳から3歳、4歳から6歳、7歳から9歳、10歳から12歳までのデータです。
アメリカ、イギリス、スウェーデンは、0歳から3歳で成長に満足している回答が9割以上あります。しかし、日本の親は7割しか成長に満足していません、先ほど言ったように2歳ぐらいから親の比較が始まり、自分の子どもに焦りを覚え、3割の親が子どもに満足できないのです。
もっと恐いのは12歳になった時です。アメリカ、イギリス、スウェーデンは成長に満足している回答が8割以上ありますが、日本では成長に満足している回答が4割を切っているのです。36%。10人いたら3人ぐらいしか満足できないのです。なぜここまで低下するのでしょう。
算数は苦手だけど、うちの子は歌を唄うのが上手とか、国語は苦手だけど、クラスの中ではみんなをまとめることができるとか、何かはその子が得意とすることや成長があるので、その「育ち」を親が見守ってあげたいものです。
・
夫婦が同じ視点で子どもに伝える。
夫婦の教育観は育ちからくるものもあり、それぞれに違いはありますが、子どもの教育の目的は「社会的自立」です。ですから、子どもの「個性尊重」と、甘やかして躾けないこととは違います
本来、本能のままに動くのが子どもだけど、躾をすることにより自分の心をコントロールすることができるようになります。先ほどの母と子の約束事ではないですが、親子で約束を守る訓練をする、一旦決めた約束事は尊重するなど、母親と父親が同じ視点に立って子どもに伝えていかなくてはいけません。
●躾けの話
・親が許して買い与えている
「子どもを不幸にしたければ、何でも買って与えなさい」(文科科学省の「家庭教育ノート」)。すごく当たっていると思います。
テレビゲームや携帯、マンガやテレビ、みんな親が許して与えているのに、親の相談に乗ると「テレビゲームばかりして」とか「マンガを読むのがすごく長くて勉強しない」など、子どもに不満たらたらです。
でも、よく考えてみてください。親が与えたから子どもは手にしているのです。ここは、子どもが勝つか親が勝つか忍耐力の勝負です。子どもは自分の思う通りにする天才。だから「携帯電話、みんな持っている」、「みんな持っているから買って!」「持っていないの 私だけよ」と言うのです。
母親はそれをすぐ鵜呑みにして父親に、「クラスの子みんな持っているみたい。だから1人だけないのは逆差別みたいだし、子どもに携帯電話持たせていいかね」と言い、父親は普段まったく頭にないので、「ええっ、もう子どもが携帯持つの」と驚き、「それが常識よ」という感じで母親がもう子どもの手先になっているのです。
子どもの戦略にハマっているのです。携帯電話を「みんな持っているよ」という言葉で引き下がってはいけません。「何人持っているの」、「誰々か言ってごらん」と確認するのです。中学生だとたいてい3〜4人、持っている子はそんないないのです。
・本音はみんな嫌なのに親が負けている
テレビゲームも同じです。これは絶対に良くないと思いましたので、小学校4年生まで持たせなかったのです。息子はなぜ小学校4年生でテレビゲームをゲットしたのか。実は主人のおじいちゃん・おばあちゃんへクリスマスプレゼントに欲しいと直訴していたのです。私たちにそういう気持ちがないことを十分わかっていたのに、おばあちゃん達がだんだん折れていくのです。「可哀相だと」言って。それで、こちらもしかたなく折れてしまったのです。
テレビゲームを手にした瞬間、「お母さん良かった。僕、みんなから仲間外れになるところだった」と言う息子。私はあらためて目に見えない影響の大きさ、ひとつの家が出来ることに限界を感じました。
友たちに話したら、私も嫌だったけどおじいちゃんが「わが家にテレビゲームがないというのは恥ずかしい。買ってやりなさい」と言ったそうです。何で恥ずかしいのか、周りの目が気になるのです。
本音を言えばみんな嫌なのに親が負けているのです。子どもにわがままを耐えさせる。また、有害な影響から子どもを守る。親が守らなくて、誰が子どもを有害環境から救い出すことができるのでしょうか。
・約束をすること
テレビゲームは親子で約束事をしました。こちら側が勝手に決めるのではなく、どのように約束するのか、子どもが考え提案します。もし、守れなかった時のペナルティまで考えます。
親は忙しいので、ついつい約束を忘れがちになりますから、我が家では、約束事を冷蔵庫に大きく書いて張り、いつでも忘れることのないように工夫しました。ペナルティは正座です。1時間から2時間の正座をすることにより、行儀も良くなりました。
・テレビは1台だけ
そう、わが家はテレビが1台しかないのです。
もし、ひとりに1台づつあれば、チャンネルを奪い合う喧嘩すら起きないでしょう。これもひとつのコミュニケーションだと思っています。幼少の頃は、兄妹喧嘩に勝った方が自分の家で見ていましたが、小学生になると、主張するばかりでは相手が納得しないことに気がつき、相手の言い分も聞きながら調整をするスキルが身につくようになりました。いつのまにか、兄妹なりのルールをつくり、自分達で解決できるようになりました。
自分の子ども時代と比べても、足りないことを我慢する機会が少ないですよね。足りないからこそ、譲りあったり分けあったりが出来るようになって、感謝の気持ちも生まれるのではないでしょうか。
物が満ち足りている現在だからこそ、あえて、不足を演出する必要があるように思います。
・携帯電話の利用について話し合う
中学2年生で3割弱が所持し、月額使用料が7800円。小学5年生では1割が所持し、月額が4000円だそうです。(日本PTAの「携帯電話の所持率」の調査)
年々増加傾向にありますが、子どもの使い方や使用料について気になりますよね。
子どもが所持するにあたって、これも親子での約束事が必要でしょう。我が家は1カ月の使用料明細を添付してもらっています。そうすると、何にお金がかかっているのか一目瞭然です。最近は使用限度を設定できる会社もあるので、各社の情報を子ども自身がよく調査してから、契約の提案をさせるといいでしょう。
毎月の使用料について、親と子がしっかり関わり内容を把握することが大事と思います。
●守ってやれるのは親しかいない
・家庭の責任が問われている
インターネットは子どもを犯罪に誘い込むような、危険な情報も多い世界です。つまり、子どもと悪い大人を結びつける機能を持っています。判断力や社会的責任能力が、未熟な小・中・高校生に、親が考えなしに買い与えるのは大きな問題があります。
ある事例ですが、親が携帯電話を買ってくれないのでインターネットで「誰か携帯電話を買ってください」と言ったら、携帯電話を買ってあげるとの返事が20件も来たそうです。「カラオケに連れて行って欲しい」と言ったら、お小遣い3万円あげると返事が届くそうです。
家で子どもが悩むことなく欲望を手に入れることができる恐さがここにあります。
守ってやれるのは親しかいないし、家庭の責任も重要です。しかし、背景に商業主義のもとで何でもありの社会がある以上、子どもを金儲けの手段に巻き込まぬよう、子どもの健全に育つ環境をPTAとして守っていくことが、もっと大切になると感じています。
(意見発表・男性)
父親は「遊びで教育をしている」と言われましたけれども、遊んでいても躾けはできるし教育もできます。
子育てに協力しないのではなく、一生懸命外で仕事をしてクタクタになるまで働いて持って帰ったお金が生活費になっているのです。それを「あんたにそっくり」と言われたら、お父さんは何もする気がなくなります。そこだけは認めてほしいと思います。
わが家は、子どもたちに希望を聞いて自分で何かができるかを考えされました。中途半端に終わるのは、それは親が協力しないからです。
子どもの前では夫婦喧嘩をせずに、中学校3年生の娘と家内と3人で話をします。どうしたいのか、何がやりたいのか、どうしたらいいのか。決して、逃げておりません。夫婦の話し合いというのは朝起きた時から晩寝るまであります。
父親も重大な任務を得て、子育てに加わっております。
(今井)
今日は、気骨のある父親にお目にかかれることを楽しみにしていました。
「逃げない父親」の反論、すばらしい子育てのお話を聞かせいただいて大変心強く思います。
・遊びから学ぶこともすばらしいこと
「遊びから学ぶことがいけない」のではなく、どちらか一方の教育観を押しつけてしまうという状況が良くないと言いたかったのです。でも、お父さんのご家庭では、夫婦、親子できちんと話し合いをされているから、母親のストレスは少ないでしょうね。
また、「遊びから学ぶことが大事」というのは、母親が苦手とする視点なので、お互いにすり合わせをよくしてバランスを保っていただきたいと思います。
・違う価値観を受け入れる
私の親戚にスポーツ大好き一家がいます。叔父はサラリーマンなので5時に仕事を終えると、すぐに帰ってきて、子どもとトレーニングを楽しみ、休日はほとんどスポーツ観戦をして子どもと共に過ごしていました。私は、いつも家族が一緒なので羨ましかったことを覚えています。
うちの父親は技術系の経営者で、そういう価値観をなかなか評価できませんでした。「スポーツで飯が食えるとのはほんの一部だ」、「仕事を頑張ることに力を注がないと意味がない」など、叔父にいつも厳しいことを言っていましたが、「そんなものかなぁ」とその風景を眺めていました。息子が成長した今、同じラクビーを習い始めて、改めて、サポートする親たちの情熱や姿勢に感激しています。
叔父の息子は、同じ高校のラグビー部のOBでもあり、花園でベスト4の輝かしい実績を創ったメンバーの一人でした。
叔父は「やるからには絶対に花園へ行く」。「花園で優勝するぐらいのチームづくりをしたい」という強い想いの持ち主で、ラクビーをやりそうな子どもの情報を集めていたようです。
ある時、非常に身体能力のある優秀な子がいるという話を聞いて自宅まで伺ったのです。当時も今も、子を想う親の気持ちは一緒で、「ダメだ、とてもじゃないけどラグビーなんて危険なスポーツだし、大学受験もあるので」と両親に反対されたそうです。
普通ならここで帰るでしょうが、叔父は「とにかく一緒に呑もう」、「呑まないと話にならない」、「とにかく話を聴いてくれ」の一点張りで、ラグビーの素晴らしさや想いを伝えていくと、まず伝わったのが父親でした。そして、「俺は母親を説得できないかもしれないけど、意義はあると思う。息子がそんなに素晴らしいのであれば、ちょっと挑戦させてみようか」と言って、今度は母親の説得に回ったのです。
夫婦それぞれの教育観が、まさにここでぶつかり合っているのですが、父親の教育観がしっかり表れていて素敵です。
後にもっと驚いたのは、その子どもが更に成長してオールジャパンで活躍し、今は全日本のコーチになっているのです。新しい出会いや体験の中でフッと角度を変えて眺めると、すばらしい親子関係や幸せな人生を構築することができるのですね。
(原田委員長)
「夫婦の教育観の不一致をどうするか」という難しい演題で取り組んでいただきましたけれども、多分、私も含めて、ここに来ていらっしゃるお母さまは先生のお話の中の夫婦喧嘩の原因とか、母親の教育意図とズレている父親の言動というところを聞いて、「フーン」「フーン」「フーン」「ホーラね」って頷かれたお母さんが多いのではないかと思います。
でも、お母さま方、この話は家に帰ってお父さまにしないようにしましょう。これをご主人をやっつける材料にするのではなくて、これは自分の胸の中に抑えておいて、最初から教育観ならず人生観・価値観、すべて違うんだというところをよく胸に止めて、違うんだから、やっぱり話し合おう、会話を持ちましょう。何がいい子育てかということはなかなか答えが出ません。でも、明るい家庭と仲のいい夫婦というのは子育てにとっては必要不可欠なものだと思います。
今日の先生のお話の中でも、会話がいかに大切かというのをよく身にしみました。今日は家に帰って10分でも15分でも夫婦の会話を持てるように努力して、明るい家庭を築いていくように、今日の研修会が無駄にならないように覚えておきましょう。